相続手続きの流れ
相続の手続きは、以下のような流れとなります。期限が決められているものや所定の手順に従って手続きをとる必要があるものがありますので、まずはしっかりと全体像をつかんでいただくことがお勧めです。
死亡
死亡届/火葬許可
死亡を知ったときから7日以内に届け出る必要があります。
市役所等へ行けば、詳しい手順について説明してくれます。
葬儀社さんがアドバイスしてくれることもあります。
遺族年金の手続
国民年金や厚生年金、企業年金など、加入している年金制度に応じて、年金事務所や基金等に遺族年金の請求を行います(*遺族の方が手続をしないと年金を受けることはできません)。
複数の制度にまたがって加入していたような場合は、特に注意が必要です。
生命保険の手続
民間の生命保険等に加入している場合は、窓口となる保険会社や保険代理店に連絡し、その後の対応方法等を聞きます。
そもそもどんな保険に加入していたか不明の場合は、まずはそのことの確認を行うことから始めます。
遺言書の有無の確認
遺言書があるかどうか確認します。
公正証書以外の遺言書(自筆証書遺言、秘密証書遺言)は、家庭裁判所に行って開封してもらう手続(検認)が必要です。
封がされた遺言書を勝手に開封すると5万円以下の過料に処せられますから、くれぐれも注意してください。
相続人の確認
法律上、相続人になれるのは一定の親族だけです(相続人となれる人の範囲は遺族の家族構成や、遺言書の内容によっても異なってきます)。
だれが法定相続人になるのか、他に法定相続人はいないかを確認するために、まずは戸籍の調査を行います(この調査は行政書士が代行することができます)。
相続財産の調査
故人の遺産を調査します。どのような財産が、どこに、いくらあるか、できるだけ詳しく調べます。同居の親族でも故人の財産をすべて把握されている場合は稀ですので、安心できる相続のためには緻密な調査が必要となります。
預貯金の確認
相続の開始されると、金融機関は口座を凍結することになります。
凍結されると預金を引き出すことができなくなり、自動引落もストップします。
電気・ガスなどの公共料金や支払い、電話代などが自動引落になっている場合は、できるかぎり早くそれぞれ変更手続を行う必要があります。
口座の解約や口座の名義変更を行うには、相続人全員の同意が必要です。一人の判断で勝手に行わないよう、注意してください。
3ヶ月
相続放棄・限定相続
遺産を調査したところ、マイナスの財産(借金や保証人になっているなど)がプラスの財産を上まわっていたとします。
この場合は相続放棄の手続をとることで、相続人が借金を背負わなくてもよくなります。
プラスの財産とマイナスの財産、どちらが多いかわからない場合は限定相続(限定承認)という制度もあります。
相続放棄・限定相続は、相続の開始・自分が相続人であることを知ってから3ヶ月以内に行う必要がありますので、注意する必要があります。
遺産分割協議・協議書の作成
故人の遺産は、相続開始と同時に全法定相続人が所有することになります。したがって、相続人といえども勝手に処分することはできません。
法定相続人全員の協議によって遺産を分割し、各法定相続人ひとりひとりの所有物になった後、それぞれ自由に遺産を処分できることになります。
未分割のままでは、処分や売却等を行えないため、全相続人の合意をもって、遺産分割協議書を作成することになります。
金融機関の手続きや法務局での登記にあたっても、遺産分割協議書が必要となります(遺産分割協議書の作成は行政書士が代行することができます)。
10か月
相続税の申告・納付
相続税の申告、および納税は被相続人の死亡後10ヶ月以内です。
延納・物納の申し出もこの期間内に行います。
- 延納/一度に払えない場合、数年にわけて納税すること
- 物納/現金ではなく不動産等のモノで納税すること
これらの手続は大変複雑ですので、あらかじめ専門家に相談するのがお勧めです(相続税の申告手続は税理士が代行することができます)。
相続財産の名義変更
宅地・家屋、預貯金、自動車、各種保険、株券、土地、商標権、ゴルフ場の会員権などの名義を変更します(不動産の登記等は司法書士が、自動車の名義変更等は行政書士が代行することができます)。